ジャンフランコ・マトローネ博士 Dr Gianfranco Matrone
子供のころから科学が好きで、成績もよかった一方で、吃音のせいで学校は苦痛でもあり、人前で質問される機会を避けていた。誰も大学に進学していない家庭で育ったこともあり、料理学校へと進んだが、そこで料理に関連する科学の内容に触れ、大学で生物学を学ぶことを決意した。学部の成績はとてもよかったが、人前で吃音を隠しながら研究することに無理があり、博士課程の面接に落ちたとき、科学者のキャリアをあきらめかけた。絶望しつつも、精神分析を受けるなどして、自分がなぜ吃音を恐れるのかを理解し、自分の吃音を受け入れるに至り、他人にもそれを隠さずに済むようになった。
ジャンフランコ・マトローネ博士 エディンバラ大学心血管科学センター 総長フェロー、講師(インタビュー当時は特別研究員)
専門領域:心血管科学
学位:2013年に博士号取得(エディンバラ大学)
インタビュー時年齢:48歳(2023年1月)
障害の内容:吃音(幼少期から)、耳硬化症による難聴(20代前半から)。
その他の情報:STAMMA(https://stamma.org/)のメンバー。
学位:2013年に博士号取得(エディンバラ大学)
インタビュー時年齢:48歳(2023年1月)
障害の内容:吃音(幼少期から)、耳硬化症による難聴(20代前半から)。
その他の情報:STAMMA(https://stamma.org/)のメンバー。
- 困ってきたこと
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吃音のために、議論に十分に参加できなかった。本来は議論の内容に集中すべきなのに、吃音が出ないような言葉を選ぶことにも同時に意識を割いてしまう。その結果、自分の持っているはずの思考能力が十分に発揮できず、周囲から過小評価を受けた。
難聴のために、他人の言葉がよく聞き取れない。相手がマスクを着けていると、口の動きが読み取れず、よりいっそう孤立する。 - 対応・工夫
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大学の口頭試験の際に、電子メトロノームの音を聞きながら発話した。話し方が単調にはなるが、吃音は出なくなった。ただ、研究室で偶発的に発生する会話に参加する際には、この方法は使えなかった。
難聴の対策として、会議の際には、発言者にマイクを使ってもらうよう、冒頭で依頼することにしている。また、多くの講義室にヒアリングループが設置されている。