ヒーラット・ヴァーメイ博士 Dr Geerat Vermeij
生まれつき視力障害があったが、小さなころから自然に関心があり、科学者になりたかった。両親や兄は自分に様々なものを触らせてくれ、手指を使ったり、指の届かないところは道具を使ったりして、観察をする能力が養われた。フィールドワークが必要な研究分野で、ときに危険もあるが、だれに同行してもらえばこなせる。このことは、安全のために単独行動を避けなければならないという点でも、研究の助手として人手を必要とするという点でも、健常の研究者とのあいだに違いはない。早くから点字を習得したことも重要で、膨大な点字のノートが自分の研究に役立ってきた。
ヒーラット・ヴァーメイ博士 カリフォルニア大学デイヴィス校 地質学科 教授
専門領域:海洋生態学、古生態学
学位:1971年に博士号取得(イエール大学)
インタビュー時年齢:75歳(2021年12月)
障害の内容:生まれつき目が悪く3歳で失明
その他の情報:邦訳された著書に『盲目の科学者:指先でとらえた進化の謎』(講談社、2000年)がある。
学位:1971年に博士号取得(イエール大学)
インタビュー時年齢:75歳(2021年12月)
障害の内容:生まれつき目が悪く3歳で失明
その他の情報:邦訳された著書に『盲目の科学者:指先でとらえた進化の謎』(講談社、2000年)がある。
- 対応・工夫(周囲の対応含む)
- 学生時代は、まだ障害に対する支援部署も設置されていなかったが、文章の読み上げをしてほしいときは、周囲に声を掛ければ見つかった(費用は州が負担した)。職場では、アシスタントに論文を読み上げてもらい、自分は点字でメモを取ってきた。もし同じことをひとりでコンピュータを使ってやろうとしたら、はるかに時間がかかってしまう。また、フィールドワークなどでも人的支援が必要である。視覚障害者にとって支援技術は確かに有用だが、人的支援によって可能になることもある。
- やりがい
- 自分は、例えば貝などを触覚によって観察するが、ほかの研究者がだれも気付かなかった特徴に容易に気付くことがある。科学者としてやっていくには多大な努力が必要であり、視覚障害があればそれだけ求められることは増えるが、それができればすばらしい職業である。自分は自然に対する好奇心を変わらず持ち続けており、これまでとても充実した人生であったが、他の視覚障害者も同様のキャリアをたどることはできるはずだ。