イリヤ・スモレンスキー博士 Dr Ilya Smolensky

脳性まひがあり、長時間歩くことはできないが、日常生活に大きな支障はない。しかし、手の震えの影響で、細かい実験操作はできない。介助を必要としない程度の障害だということもあり、大学当局には合理的配慮を求めずに済ませてきたが、研究室に所属しようとすると、自分にできないことを説明しなければならず、それを恥ずかしいと感じてきた。しかし、自分の持っている能力に価値を認められれば、できない部分に関しては代わりの人がやってくれるなど、研究者たちは助けになろうとしてくれた。

イリヤ・スモレンスキー博士 フリブール大学・バーゼル大学 ポスドク研究員
専門領域:神経科学、神経内分泌学
学位:2018年に博士号取得(パヴロフ生理学研究所)
インタビュー時年齢:32歳(2022年12月)
障害の内容:脳性麻痺(出産時の事故による痙直型ダイプレジア、主に左腕と右足の麻痺)
その他の情報: 科学コミュニケーターとしてポッドキャスト、ブログ、講演を行っている。ALBA Network(https://www.alba.network/)の「障害とアクセシビリティ」ワーキンググループのメンバーを務める。
困ってきたこと
主に左腕と右足にまひがある。大学生時代、化学実験ではペアを組む学生に作業をやってもらっていたが、野外実習で顕微鏡による観察を行ったときに、手の震えでうまくいかないことに気づいた。
対応・工夫
マウスやラットの行動実験のように、器用さを必要としない研究を選択した。自分のできない作業は、研究室の雇った助手が代わりにやってくれている。
やりがい
自分の経験を積極的に発信することで、他の人たちを助けたり、励ましたりしたいと思っている。研究者を目指している人は、情報を集めて、必要ならば他の研究者にコンタクトを取ってほしい。誠実に自分の状況を説明すれば、多くの人は助けになってくれるだろう。